ルナ子の大活躍
2011 / 09 / 18 ( Sun ) 飼い主の私がいうのもなんだけど…。
ルナ子の容貌は、普通ではなかなか見られないくらいボロボロだ。 体半分、完全につるっ禿だから、犬というよりは、ネズミか、 羽をむしられたニワトリのよう…。 そんなボロ犬がヨタヨタ歩きで、数歩歩くとバッタリ倒れて手足をヒクヒクしたり するから、一見、ものすごーーーく弱っているおばあさん犬に見える。 あまりにもボロいので、犬を散歩させながら通りかかる人の中には、 「この犬、すごい病気持ちかも?! うちの子(犬)に病気がうつったら大変!!」 とばかり、薄気味悪そうに横目で見ながら、 自分のワンコを抱いて足早に通り過ぎる人も…。 気持ちはとてもよくわかる! 私だって、自分の家のワンコじゃなかったら、 「これって…犬…だよねー?? うわ…すごい姿…」 と思うかもしれないもん。 ところが、案外、世の中って、とっても優しい人の方が多い!! ボロボロのルナ子を散歩させていると、実にたくさんの人から 温かい励ましの言葉を頂く。 「がんばっていて、偉いわねー」 「こんなに年をとっても、歩いているのねー。私も見習わなくちゃ」 「本当によく介護してらっしゃるわねー。感心だわー。 いい飼い主に恵まれてよかったわね、ワンちゃん」 暖かい言葉の数々を頂くと、自分がものすごーく頑張っているような錯覚に陥り、 とっても幸せな気分になって、 「よっしゃ、今日もがんばろう!」 という気分になる。 ルナ子も心得たもので(?!)、見知らぬ人から声をかけられると、 さらに哀れを装うかのようにヨロヨロバッタリ倒れて見せる。 仕込んだわけでもないのに、相当の演技派だ。 だがその実、家の中に入れると、まるで別の犬のように、 足腰もしゃっきりしてクルクルクルクルずーっと元気に無限に徘徊し続けている。 弱そうに見えて、「本質はとっても元気」なのだ。 だから、実際には、もっと重い病気で、毎日病院通いのペットを 飼っている人の方がずっと大変なはず…。つくづく、 「状態以上に見た目がひどいと、得だわー」 と思う。 ところで、こんなボロ犬ルナ子が、ある日人知れず大活躍した! 朝6時。 徘徊&カラオケ大会が始まったので、散歩に出ようとしたら…。 向いのアパートの入り口で若い金髪の兄ちゃんたちが大ゲンカ!! 「こんな朝早くから近所迷惑だなあ…。注意しようかなあ…」 と思ったものの、兄ちゃんたちはヤクザさんのケンカ並みにヒートアップしてる…。 「困ったなあ…。下手に注意したら、余計火に油を注いじゃうよなあ…。 私がおばあちゃんで、相手がすごく可愛がっている自分の孫だったら、 『おやまあ、どうしたんだい。優しいお前がそんな風に振舞うには 何か事情があるんだろうけど…。 朝も早いし、大声は年寄りの心臓に悪いから、 もう少し小さな声で話し合ってくれると助かるんだけどねぇ』 とかなんとかいえばいいけど…。今の私には似合わないしなー。困ったなー」 とか思いながら、ルナ子を歩かせていた。 ルナ子は…といえば、兄さんたちのケンカなど、ものともせず、 マイペースにひたすら家の前をトボトボヨロヨロ…。 でも、不思議と、ケンカしている兄さんたちの方には行こうとしない。 なので私も、 「とりあえず、兄さんたちに掛けるいい言葉が見つかるまでは、ルナ子に集中」 と、一緒にとぼとぼヨロヨロ…。 とぼとぼヨロヨロ…。 とぼとぼヨロヨロ…。 10分くらいグルグル歩いたら、兄さんたちのトーンが自然とダウンしてきた。 なおも、 とぼとぼヨロヨロ…。 とぼとぼヨロヨロ…。 15分もしたら、なんだか自然に仲直りしてしまった! とぼとぼヨロヨロ…。 とぼとぼヨロヨロ…。 さらに5分後、よくわからないけどみんな笑顔になって立ち去っていた!! ボロ犬ルナ子パワー、恐るべし! かくして、老犬ルナ子は密かにご近所の平和に貢献したのでした! 下手な「注意勧告」より、老犬の「存在」の方が、よほどケンカの仲裁に役立つのねぇ…!! ルナ子、すごーーい! ルナ子「えっへん! あたちの癒しパワーは半端じゃないのよ♪ だって、いつも、じいを癒してあげてるもん♪」 |
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