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2013 / 02 / 25 ( Mon ) 先日TVで、発泡スチロールを使って、大黒柱、朽ちた地蔵、食品、鉄…など、
ありとあらゆる偽物を作る職人さんの仕事ぶりを見た。 職人さん曰く、 「石って、よく見るといろいろな色が混ざっているんですよ。 苔も、ただ単に石の上に生えるのではなく、まず、土が飛んできて、 石に付いて、その上に生える。 鉄は錆びる前に、まず黒くなる。 物が出来上がるまでの成り立ちを知って、その成り立ちを再現することで 本物に近づけることが出来るんです」 模倣するために、対象物をじっくりその成り立ちから観察すると、 「年月を経た物の美しさ、素晴らしさ」を深く知ることが出来るのだろう。 お蔭でふと、 「世の中は美しいもの、素晴らしいものに溢れている。 その美しさ、素晴らしさに気づかぬまま、多くのものは失われていく」 という言葉を思い出した。 石や鉄にとって、「苔」や「サビ」は困ったものでしかない。 でも、人間から見たら「年月を重ねた深い味わい」と感じることがあるように、 人間の人生の中の「辛く苦しく不幸で嫌な経験」も、数百年後の人からみたら、 「深い味わいドラマチックな生き方」に見えるに違いない。 たとえば、混沌としていた「貧しい昭和」が、今の時代の人々から見ると 「素敵なレトロの時代」に見えるように…。 そう考えると、艱難辛苦も毛嫌いするものでもないし、欠点と感じる部分も、 卑下する必要も改善する必要もないものかもしれない。 人も自然も、存在するすべてのものの今の姿の中に「味わい深さ」を感じ、 その美しさをじっくり見つめたいものだ。 テーマ:モノの見方、考え方。 - ジャンル:心と身体 |
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