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安全志向?
2010 / 06 / 04 ( Fri )
 自然派志向の産科のお医者さんと、以前こんな話をしたことがある。
 「今や4人に一人の妊婦さんが帝王切開を受ける時代。
 でも、本当に4人に一人がお腹を切らなきゃ、子供が産めないなら、
人間は滅びるよね。産める力があるから妊娠するのにね。
 ただ、今の時代の人々は、医者も含めて、
 「安全に産める体を調えるためには、『陣痛という力』と『時間をかけること』
 が不可欠」
 「生命の現場には、わずかの死はつきもの」
 って認識が甘い。そして、むやみに「安全、安心、便利」を求め過ぎたから、
こんな医療になったんだろうね」

 でも、今ふと思う。
 大多数の人が、「安全に産めて当然。できるだけラクして簡単に産みたい。
それなりの方法をとれば、必ずできる」と思い込んでいるならば、
帝王切開が4人に一人という医療の現実は、案外今の世の中に合っているの
かもしれない。
 
 もともとお産という生命活動は、「楽して簡単かつ安全安心に」なんて営みではない。
 お産が始まると、女性の体は数~十数時間で劇的に変化する。
 それまで、赤ちゃんが母体としっかり繋がって離れないように、子宮の入り口は固
く閉じ、胎盤は子宮にがっちりくっついて栄養をもらっていた。
それが、タイミングを合わせて、数~十数時間で、赤ちゃんが外に出て、
自力で生きられるように変化するのだ。

 たとえていうと、硬いお餅を焼くと、柔らかいお餅に変化したり、
氷が温められて水蒸気に変わるような大きな変化が妊婦さんの体に起こる。 
 実際に子宮をはじめ、妊婦さんの体に触ってみると、最初は硬いお餅だったのが、
赤ちゃんが生まれる時には、つきたてのお餅のように柔らかくなり自由に
伸びるようになる。
 よくよく考えたら、数時間で人間の体がぐにゃぐにゃになるような変化って、
通常では考えられない、奇跡的な営みだ。
 
そして、その変化を創り上げるのが「陣痛」でもある。
「陣痛」は、お餅を焼く時の火と同じ役割をする「スーパーエネルギー」を
生みだしているのだ。
 陣痛が起こり、収縮と弛緩を繰り返すことで、妊婦さんの体は、子宮をはじめとした、
体の細胞がどんどん変化して緩み、柔らかいお餅のように変わっていく。
陣痛は生命の神秘の立役者だ。

 この大変化があるからこそ、安全に赤ちゃんが産めるのだ。
 だから、「陣痛抜きで、ちゃっちゃと安全に楽なお産」なんて、生命現象的に
ナンセンスな話。

 でも、それが「当たり前の考え方」になっている現代、「
陣痛」は忌嫌われるものになり、妊婦さんは痛みにおびえ、
緊張して「緩む」ということができなくなっている。
すると確かに、安全な柔らかい産める体にならないから、帝王切開の方が安全…
という理屈もまんざらではない…ということになる。
 ならば、4人に1人は帝王切開もいたしかたない…のかもしれない。

 似たようなことが、「口蹄疫騒ぎ」にもいえるんじゃないかと思う。

 殺処分は「家畜の命を守るための対策」といってるけど、
「ウィルスの蔓延で死んでしまう数」と「殺処分になる数」を比較したら、
殺処分の数の方が多いんじゃないだろうか。なんだか、
「安全安心」という言葉に踊らされて、無意味な殺戮をしてるように思えてならない。

 実は、口蹄疫は家畜の死亡率の問題以上に、「罹ると、口内炎で食事が取れなくなり、
肉質が悪くなって商品価値が落ちる」という問題が大きいとか…
(ちなみに、口蹄疫にかかった牛を食べても安全)。

 結局は、家畜の命より「人間の利益」に目がくらんだ方策じゃん!と思う。
「命を大切に」というスローガンを掲げながら、一方では目を血走らせて
「殺処分」を主張している大人たちを見ると、未来を担う子供たちに無言で
最悪の命軽視の教育をしてるように思えてならない。

 病気が蔓延すると、その病気に弱い個体が亡くなり、強い個体が残っていくのは
自然の法則。
自然淘汰されることで、新しい時代を生き抜くのに適したDNAを持つ個体が
うまく残っていくように仕組まれている。

 でも、人為的に作り出された動物は、真っ先に自然淘汰される弱さを
持っているのかもしれない。
「短期間で太り、利益が出る」ように「人工開発された牛」が、
真っ先に口蹄疫にかかったのは、自然界の法則では、真っ先に自然淘汰されてしまう
弱い生命である可能性は高い。

ならば、帝王切開同様、「体が弱く、自然のままには生き残れない現代の家畜」を
守るためには、殺処分という大々的な対策が必要なのかもしれない。

 でもねえ…、私はそういう「安全、便利、利益第一主義」のやり方、
大嫌いなんだけどなあ…。
 そんなに便利、安全、利益を追求しなくていいから、もう少し命も、
自然も、体も、自然の営みも大事にして、生命の神秘に敬意を払って生きられたら
いいのになあ。
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